2.痴漢編
結局、そのまま寝入ってしまって、朝、彼に起こされるまで、気が付かなか
ったの。かっこ悪い。目覚めると、彼が寝顔を覗き込んでいた。
「おはよう」
「きゃぁ」
慌てて寝惚け顔を隠すけど、もう、遅い。
「寝顔は、ツルンとして、赤ん坊みたいだな、昨日の夜とは別人だ」
また、からかって。
「もう、シャワー浴びてくる」
熱いシャワーを浴びていると、昨日の夜のことを思い出して、身体の奥がカ
ァッと熱くなる。身体のほてりを冷ますように、最後に冷たいシャワーを浴び
て、バスルームを後にする。入れ替わりに彼がシャワーを浴びている間に、大
急ぎで簡単な身支度を整え、朝食の用意。今日はいつも通りに出社しなければ
ならない。動く度に少し、股関節が痛い。恥かしい痛み。
朝食は簡単な和食。海外から帰ったばかりの彼に気を使った。もっとも、最
近は海外でも和食に苦労はしないけれど。葱とおかかの入った卵焼き、ほうれ
ん草とにんじんの白和え、小がんもとワカメのお味噌汁にご飯、それから昨夜
用意しておいた旬のナスとキュウリの浅漬けに、房州産の焼のり、梅干しは紀
州の南高梅、柿安の昆布と椎茸の佃煮…。彼の好みに合わせて少しづつ、細々
とそろえる。慣れれば結構手早くできる。もっとも、彼がいる朝はいつもより
も豪華だけど。
シャワーを浴びて着替え、新聞を読んでいる彼に、冷たい麦茶を出し、朝食
を並べ始める。
「和食かぁ、今回はヨーロッパの僻地へ行ってきたから、懐かしいよ」
朝食を食べる終えると彼は先に会社へ。
…。
会社へ出ると、それなりに仕事に忙殺されて、彼の事を気にしている暇はな
い。でも、ちょっとした時に身体の痛みが昨夜の激しい行為を思い出させる。
時折、目の端に捉える彼は、何事も無かった様に元気だ。にくたらしい。ほん
とにあの人は私よりも20も年上なのかしら。
外出先から帰ると社長室からお呼びがかかる。私は彼が始めたニュービジネ
スの立ち上げ役として、1年前に引き抜かれて勤め始めた。そのビジネスの出
張中の進捗状況を報告する。じっと聞いていた彼は、提出した書類に目を通し
ながら、適切な助言を2、3くれた。
「あぁ、そうですね、おっしゃるようにやってみます」
彼はニコニコして、立っている私の頭から爪先までを眺めている。今日の私
は、ハイネックで濃いグリーンのニットワンピース、上にはベージュの短めの
サファリジャケットを羽織っている。
「んー、でもそんな格好をして、仕事してると、昨日の夜とは別人だなぁ、あ
んな、いやらしい声を上げてる姿は想像できないよ」
突然、そんなことを言われて、全身真っ赤になる。
「や、やめてください」
慌てる私を、楽しむようににやにやした後、しれっと、
「はい、わかりました、ごくろうさま」
と、退室を促す。他の社員が社長室に入って来たので、そのまま下がる。彼
もずいぶん前に離婚をしていて、社内(?)恋愛である事を除けば、私の事が
ばれて困る事はないから、ああやって、時々私を社内でもからかうの。色の白
い私は、赤面すると、とても目立って、恥かしいっ。周りの人は、ただ単にそ
れを面白がってからかってると思っているみたい。セクハラおやじっ!もう。
そういう関係じゃなかったら訴えてやるのにぃ…。
席に戻ると、パソコンの画面にメールが到着しているメッセージ。
『○○駅で待ち合わせ。下着は全部外しておく事。ジャケットも着ちゃダメだ
よ。パパ。』
慌てて、メールを消去したけど、パソコンの前で真っ赤になっている私を、
また、みんな不信に思うわ。どうしよう。
…。
でも結局、彼の言う事には逆らえず、指定された駅へと急ぎ、トイレで下着
を外す。ワンピースはノースリーブでかなり身体にフィットしているタイプだ
から、胸の形もお尻の形も露になる。あぁ、どうか個室の外に誰もいません様
に。でも、ラッシュ時の女子トイレに人がいない訳無い。みんな、ジロジロと
私を見る。何事も無かったかの様に振る舞っても、ユサユサ揺れるおっぱいを
見れば異常にみんな気づく。
その恥かしさは、待ち合わせ場所の改札口で頂点に達した。会社からは遠く
離れた駅で、知り合いが通る心配は無いけれど、見知らぬ男性達はより遠慮の
無い視線を浴びせる。待ち合わせの時間はとっくに過ぎているのに彼はこない。
遅刻するような人じゃないから、たぶんどこかから、恥かしがって身を揉む私
を面白がって見ているんだわ。あぁ、でも彼の思惑通りに、身体の芯が熱くな
って、濡れ始めている。
「はぁぁ…」 吐き出す息まで、熱い気がする。
もう、頭がボーっとして何も考えられなくなった頃、彼はやってきた。私の
肩を抱いて、さっと改札を通り抜け、そのまま来た電車に乗り込み、私にそっ
と囁く。
「離れちゃだめだよ、そんな格好で他の男に触られたら大変だ、電車の中でお
かされてしまうよ」
身動きもできない程ではないけれど、身体を離してはいられない込み具合。本
物の痴漢と間違われないように、最初から手を繋いで乗り、ドア近くの隅で彼
は私の背後に回る。こちらのドアはしばらくは開かない。電車がホームを離れ
ると、彼は私の身体をさわり始めた。
「もう、こんなになって、興奮してるの?」
両方のおっぱいを優しく揉み、尖りきった乳首を撫でる。布地と擦れあう感
じが、身体をより敏感にさせて、思わず吐息を漏らす。
「はぁぅ…」
一番近くの席に座っているサラリーマン風の男性が、私たちの行為に気付き、
びっくりしてる。もうこれ以上声を上げまいとするけれど、私の身体を知り尽
くした指には勝てない。
「あ、はぅ」
脚の付け根のあたりを執拗になぞられると、立っているのも辛い程感じてし
まう。その頃には、お尻に押し付けられた彼のものもカチカチになっている。
電車が揺れる度に、更にぐっと密着してくる。あぁ、お腹の中がじーんとして
くる。入れて欲しくなっちゃう。
私が耐え切れず小さな声を上げる度、男はチラチラとこっちを見てる。そん
な時、彼が私のスカートをスルスルとめくり始めた。信じられない。この人に
見られちゃう。だって、丁度目の高さなのに。
「やめてぇ」
そんな私の気持ちに関係なく、彼の指は私の一番恥かしい場所に進んでいく。
男性の目はそこに釘付けになって、舌なめずりでもしそうな顔をしている。
パパは濡れた指を出しいれしながら、耳を舐めてくる。
「こんなに濡れたら匂いでみんなにバレちゃうよ」
私は、立っているのに精一杯で、歯を食い縛り、口答えも出来ない。
あぁ、もうダメ、そう思った時電車のドアが開いた。
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