第4回
裸電球がひとつブラ下がった、異様な室内に気づくより早く、香織は
ドンッと背中を突き飛ばされた。
フワフワするマットに足元を奪われ、つんのめった。
背後でバタンと鉄扉が閉ざされ、錠をおろされる音がした。
その時になってようやく香織は悲鳴をあげた。
香織を閉じ込めた稔は、鉄扉越しにかすかに聞こえる悲鳴に背を向けて
再び玄関に上がり、外へ出た。
すぐそこにある散水用の蛇口に口を当て、生ぬるい水で喉の渇きを癒した。
それから車をガレージに入れ、吠え立てるヤマトを囲いから出してやった。
よく訓練されたヤマトには、これから朝まで屋敷を警戒する役目がある。
「とうとうやったぞ、ヤマト」
主人の興奮ブリがわかるのか、ヤマトも身を震わせて、ひと声高く吠えた。
自分の部屋に入った稔は、ベットに転がってタバコを咥えた。
(急ぐことはない……)
稔は取り出したナイフの刃を電灯に透かし、見つめながら考えた。
「ひと晩がかりで骨抜きにしてやる……」
出迎えのために着た一張羅のシャツとズボンを脱いでブリーフだけになった。
ブリーフの前をなだめながら稔は煙りを天井に吹き上げた。
稔はタバコを捨てると七つ道具入りのバックを提げて部屋を出た。
普段は無機質なコンクリートの地下牢に、女の匂いが生温かくこもっていた。
ブリーフ一枚を身につけた稔の姿を見て香織は自分の運命を覚ったに違いない。
恐怖に声もたてられず、ただルージュの濃い口をパクパクさせて、
マットの上を後ずさりした。
帽子は脱げ落ち、髪は乱れていた。
一人っきりで閉じ込められた不安と恐怖が表情に表れている。
-つづく-
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