第40回
ドアがノックされ、若いボーイがディナーを下げに入ってきた。
千枝は全裸のままボーイを迎えた。
気をやったばかりの美貌は、ハッとするくらいになまめかしく、紅潮していた
ボーイは千枝の淫らな雰囲気に目を丸くしながらも、皿を片付け始めた。
黒河はバスローブを羽織り、千枝だけが、素っ裸のままである。
黒河がなにやら千枝に耳打ちをした。
「そんなこと……」
千枝は真っ赤になって首を振るが、いやなら全裸のまま廊下に放り出すぞと
脅かされ、覚悟を決めた。
「あ、あの、ボーイさん……」
「はっ、はいっ。なんでございますか」
若いボーイは眩しくて千枝のヌードを真正面から見れなかった。
「髭剃りを、持ってきてくださらないかしら……」
か細い声で、千枝が言った。
「剃刀が、洗面所にございますが」
ボーイは憂いを帯びた美人の瞳に引き込まれた。
「剃刀って血がでたりして、恐いでしょう……恥ずかしいところの毛の……
お手入れがしたいの……だから、電気シェーバーが欲しいの……」
乳房も恥毛も隠すことが許されない千枝は、顔から火が出るような思いだ。
「あの……お客さまがお使いに……」
「そうよ。剃りたいの……」
千枝がボーイに近寄った。甘い体臭が、迫ってくる。
「かしこまりました。すぐお持ちします」
声をうわずらせ、ボーイが出ていった。
「千枝。ハサミも持ってきてもらえ」
「ハサミ……」
「シェーバーを使う前に、ハサミで短く刈らないとな」
黒河は、ボーイを追いかけろ、千枝を全裸のまま部屋から出した。
「ああ……ゆるして……」
千枝はあわてて、両手でバストと恥部をおおった。
廊下には、ボーイの背中が見えるほかに人影はない。
早く追いかけて、頼んでこいよ。急がないと、降りてしまうぞ」
黒河にヒップを張られ、千枝は素っ裸のまま廊下を走った。
プルプルと弾む双臀を見て、黒河はニヤついている。
「あの……ボーイさん」
従業員用のエレベータを待っていたボーイは、千枝の声に振りかえった。
「ど、どうなさったんですか!?」
一糸まとわぬ姿の美人をみて、なにごとかと思った。
「ごめんなさい、こんな格好で……」
「…………」
(この美人。露出狂ってやつかもしれないな……)
ボーイはドギマギしながらも、千枝の肢体をみつめた。
「ハサミをもってきてください」
ボーイの視線に恥じらう仕草が色っぽい。
「かしこまりました。すぐお持ちしますから……」
「ありがとう」
くなくなとくねるヒップをボーイに見せつけながら、部屋へと走った。
途中で客室のドアが開いた。中年の男二人が出てきた。
「おぅっ……」
千枝はカアッとしながらも、男たちの前を走り抜けた。
たまらない羞恥心と共に、露出の快感が全身を突きぬけていく。
千枝は足がもつれ、崩れるように部屋へと入った。
黒河がすぐに、千枝の下腹部に指を入れてきた。
「あっ……だめ……」
「濡れてるじゃないか、千枝。素っ裸で外に出るのが好きみたいだな」
愛液でぬめる人差し指を、黒河が千枝の目の前に突きつけた。
「ああ……恥ずかしい……」
千枝はその場に膝を折った。
-つづく-
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