第1回
「榊原千枝さんだね?」
背の高い、がたいのいい男に突然声をかけられた。
男は、黒いスーツ姿に夜なのに濃いサングラスをしていた。
「は、はいっ そうですけど……」
男は、ニットのセーターの胸のふくらみをジロジロ見ている。
男の視線にただななぬものを感じ足がガタガタと震えた。
「あ、あの、何かご用……」
そう言うか早いか男の拳が鳩尾に入った。
ドスンとくる重いパンチに意識が遠のいていった。
「榊原千枝を捕らえました」
男は、携帯電話を手に千枝の胸をまさぐりながら誰かに報告していた。
千枝が、ときどきうめき声をあげるが、目を醒ます気配はなかった。
男の手が、セーターの中にのびたとき、車は郊外のマンションについた。
「着きました」
車を運転していた男がそう言うと男は名残惜しそうに車を降りた。
「降ろせ!」
車を運転していた男に命令し、男たちはマンションに入っていった。
-つづく-
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